各務原リハビリ透析センター
透析療法とは
人間だれしも生きていく中で食べ物を食べたり飲み物を飲んだりします。食べたり飲んだりしたものは、分解され消化し吸収していきますが、その過程でどうしても余分なものや体に害のあるものが出てしまいます。それは、よく知られている栄養素のカリウムやリンなどですが、水分でさえも普通に生活するうえで余剰してしまうこともあります。
また筋肉や骨なども古くなると新しい細胞に置き換わり、古い細胞は老廃物となって体内に蓄積していきます。それら余剰した水分・栄養素・毒素・老廃物は人体に多様な悪影響をもたらしてしまいます。
人間はこうしたものを、腎臓でまとめて濾しだし尿として体外へ排出することで体のバランスを保っています。しかし、何らかの原因で腎臓の機能が低下すると、体に害のあるものを濾しだす力や尿自体を作る能力が低下してしまいます。
そういった腎臓の機能が弱った患者様に対して、機械的に腎臓の代わりの治療を行う事を透析(人工透析)といいます。まず、シャント(静脈を動脈に縫い合わせてつなぐことにより、動脈血を直接静脈に流すこと)を行いそこに注射針を刺し、ポンプで体の外に血液を取り出します。その血液を人工腎臓(ダイアライザー)に通して余分な水分と体に害のあるものを濾しだして、きれいにし再び体に返します。毎分約200mlの血液をきれいにし、一回の治療で約4時間続けて行います。それを週3回行う事を、一般的に透析療法と呼びます。
当センターの透析療法
当センターの透析療法は、現在も社会に貢献している方の多い通院透析患者様に対して、生活の質(QOL)をあげる目的で、出来る限り透析開始時間を調整しています。また、健康寿命を延ばし、退職後も地域社会で活躍していただけるようにするため、透析の合併症を減らすことや可能な限り食事を摂取できるように、透析時間を長くできるよう努力しています。
なお、当院や介護施設に入院・入所を余儀なくされた透析患者様に対しては、体力を落とさず健康を維持するため、理学療法士が中心となり腎臓リハビリテーションを行っております。
透析装置について
2024年2月に、全27床の透析装置を日機装社製のDSC-200Siに更新しました。
DCS-200Siの特徴
- 新たなアーチループ回路(血液回路)を用いることで、空気と血液の接触面積を97%低減させ、抗凝固剤の使用量の低減が期待できます。
- プライミングボリュームの低下(体外へ出す血液量、約130ml→80ml)により透析中の患者様の血圧低下の予防が期待できます。
- リアルタイムに血液流量と透析効率を監視する機能が搭載されているため、透析効率異常やシャントトラブルの早期発見、対応が可能となります。
- 全台血液濾過透析(オンラインHDF)、間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)が可能となったため、幅広い透析治療ニーズに対応可能となりました。
- DSC-200Si導入にあたり水処理装置や透析管理システムも入れ替えたため、より安定した透析治療の提供が可能となりました。
また2023年より新たにレオカーナを用いた血液浄化による閉塞性動脈硬化症の治療及びフィブリノゲン吸着療法を採用し患者様の血液循環の改善に力を入れております。
長時間透析について
通常に行われている透析は週3回で1日3~5時間要するのが基本ですが、長時間透析は1日6時間以上かけて行います。体の循環動態に優しく、老廃物やリン・カリウムなどの毒素をより多く除去でき、透析効率が上昇します。
メリット
- 通常の透析では除去が不十分なβ2MG(透析アミロイド症、痒み、イライラの原因物質)などが多く除去され、さまざまな合併症の予防や治療の効果があります。
- 1時間あたりの除水速度が緩やかになり、透析中の血圧が安定するため心臓への負担も軽減され無理のない透析療法になります。
- 老廃物が充分に除去されるため通常の透析とは違い、食事制限の緩和が期待できます。栄養状態が改善し筋肉量が増加し、免疫力が高まるなどの効果もあります。
- 長時間透析をすることで、除去効率を上げ栄養状態を改善させ、リンやカリウムの薬の減量にもつながり、貧血の改善や降圧剤の減量や中止も期待できます。
各種透析療法について
血液透析濾過(オンラインHDF)、間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)、各種吸着療法なども採用し、患者様のニーズや生活のリズムに合わせた透析治療を提供しています。
血液透析濾過(オンラインHDF)のメリット
通常の透析と同じように血液を体の外に取り出します。その血液に透析液(体液組成に近い水)を大量に混ぜて希釈します。そうすると希釈した透析液に毒素や老廃物が混じりますが、毒素、老廃物が混ざった透析液だけを排出(濾過)することで、通常の透析よりも効率よく除去が可能になります。また通常の透析では抜けきらない分子の大きい老廃物の除去も可能となります。この濾過と血液透析を同時に行うことを「血液透析濾過(オンラインHDF)」と呼びます。
血圧低下の予防、痒みの軽減、貧血の改善、栄養状態の改善など様々な効果が期待できます。
間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)のメリット
一般的に血管内に流れる血液(水分)量が少なくなると血圧が下がりやすくなりますが、透析中は血液中の余分な水分を除去するため、一時的に血管内の水分量が減ってしまい、どうしても血圧が下がりやすくなってしまいます。血圧が下がると気分が悪くなるなど、透析治療自体の続行が難しくなってしまいます。
そこで間歇補充型血液透析濾過(I-HDF)は、透析中に一定時間ごとに少量の水分(透析液)を人工腎臓(ダイアライザー)に通して体に補充することで、血液量を維持し血圧の低下を予防します。
また、定期補液された水分が、人工腎臓(ダイアライザー)内の膜の目詰まりを洗い流すため、透析効率の改善が期待できます。
吸着療法について
吸着療法とは、透析と同じように体の外へ血液を取り出して、特殊な器材に血液を通すことで、透析などでは除去できない有害物質を吸着して除去する治療法です。
当院では、閉塞性動脈硬化症でLDL(悪玉コレステロール)やフィブリノゲン(止血の際に作用するタンパク質)の数値が高くなってしまった患者様に対して、吸着療法を採用しています。
LDLやフィブリノゲンの数値が高くなり過ぎると、血液がドロドロになってしまい、指先など隅々まで血液が行きわたりにくくなってしまいます。吸着療法を行いLDLとフィブリノゲンを除去し、サラサラな血液にすることで体の隅々まで血液が行きわたり、下肢の壊死組織予防が期待できます。
送迎について
当院では、ご自身で通院が困難な方に対して無料送迎を行っています。
入院・入所透析について
次のような理由によりお困りの患者様に対しては、当院に入院して透析を受けていただく事ができます。
- 足腰が弱くなり、通院が困難となった方でリハビリが必要な方
- 病後等で安静が必要な方
- 救急病院からの退院後の生活が心配で、透析を続けながら療養をもう少し続けたい方
- 透析後血圧低下等で帰宅困難になった方
ご自宅への復帰が困難な場合は、併設する各務原リハビリテーション介護医療院や特別養護老人ホーム菜の花へ入所し、透析治療を継続して受ける事も可能です。当院で治療困難な病態・シャントなどは、近隣の透析施設のある救急病院や専門施設と連携を取っています。
透析日・時間
月・水・金 | 午前・午後の2クール | 午前8:30 ~ 14:00頃まで 午後12:30 〜 17:00頃まで (あくまで目安です) |
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火・木・土 | 午前・午後の2クール | 午前8:30 ~ 14:00頃まで 午後12:30 〜 17:00頃まで (あくまで目安です) |
透析リハビリテーション(腎臓リハビリテーション)について
平成24年10月より腎臓リハビリテーションを開始しました。
腎臓リハビリテーションは、腎臓疾患や透析医療に基づく身体的・精神的影響を軽減させ、症状の調整や生命予後の改善、心理社会的ならびに職業的な状況を改善することを目的として行われます。
以下の治療を行い、長期にわたる包括的なプログラムを実施しています。
治療内容
- 運動療法
- 食事療法と水分管理
- 薬物療法
- 教育
- 精神・心理的サポート
透析に関するお問い合わせ
当院の透析治療をご希望の方は、以下の地域医療介護連携室へご連絡下さい。
地域医療介護連携室