子どもが咳で夜眠れないときはどうすれば?ご家庭でできる対処法

夜中、子どもの咳が止まらず苦しそうにしている様子を見て、眠れないまま心配だけが募る夜を経験したことがある親御さんも多いのではないでしょうか。
小さな体で頑張るお子さんを前に、何が原因なのか、どうしたら楽にしてあげられるのかと、不安な気持ちが膨らむのは自然なことです。
特に最近では、季節の変わり目や感染症の流行など、咳を引き起こす原因が複雑で多岐にわたります。
お子さんの健康を守るために、まずは咳の可能性のある原因を知り、家庭でできるケアや適切な医療機関への相談を考えましょう。
咳の原因とは?
子どもの咳にはさまざまな原因が考えられます。咳は体が異物や刺激物を排除しようとする自然な反応ですが、その背景にはいくつかの病気や状態が隠れていることがあります。以下に、主な原因を挙げてみました
- 風邪やインフルエンザ
ウイルス感染による咳が最も一般的です。鼻水や喉の痛みを伴うことが多く、一時的なものがほとんどです - 喘息
夜間や運動後に悪化することが多い喘息は、繰り返し起こる咳や息切れが特徴です。 - アレルギー
花粉やダニ、ペットの毛などが原因で、乾いた咳が続くことがあります。 - 百日咳
特に乳幼児に注意が必要な感染症で、長期間続く激しい咳が特徴です。最近の流行もあり、早めの診断と治療が重要です。 - 気管支炎や肺炎
気管支や肺の炎症が原因で、湿った咳や高熱を伴うことがあります。 - 逆流性食道炎
胃酸が逆流することで咳が引き起こされることがあります。特に横になると悪化することが多いです。 - 気道異物
小さな物を誤飲した場合、突然の咳が起こることがあります。この場合は緊急対応が必要です。
このように、咳の原因は多岐にわたります。それぞれの原因に応じた適切な対応が必要です。次のセクションでは、家庭でできる対処法や医療機関を受診すべきタイミングについて詳しくお伝えします。
対処法と安心感を提供
夜間に子どもの咳がひどくなると、親としてどう対処すればよいのか悩んでしまうものです。まずは家庭でできる簡単な方法からお試しください。
家庭でできる対処法
- 加湿をする
部屋の湿度を適度に保つことで喉の乾燥を防ぎ、咳の症状を緩和することが期待できます。加湿器を使ったり、濡れたタオルを部屋に掛けるなどしてみてください。 - 頭を高くして寝る
枕を少し高めにして寝かせることで、呼吸が楽になり、咳が軽減する場合があります。 - ぬるま湯や蜂蜜を飲ませる
喉を潤すためにぬるま湯を少量飲ませたり、蜂蜜を混ぜた飲み物(1歳以上の場合)を提供するのも効果的です。
また、見守る方々の落ち着きが子どもの安心に繋がります。
お子さんが咳をしているとき、見守っている方が慌ててしまうと、その雰囲気がお子さんにも伝わり、不安感が強まることがあります。逆に、冷静で落ち着いて対処している姿を見せることで、お子さんも少しずつ安心しやすくなります。
たとえば、
- 深呼吸をして気持ちを整える
- 穏やかな声で「大丈夫だよ」と伝える
- 温かい飲み物を準備しながら、寄り添う

こうした小さな工夫が、お子さんの気持ちを落ち着かせる大きな助けになります。また、見守る方自身も「まずはできることから」と考えることで、不安を和らげられるかもしれません。
咳を予防するためにできること
咳を引き起こす病気を予防するためには、日常生活の中での工夫が大切です。以下のポイントを参考にしてみてください
- 予防接種を受ける
百日咳を含む多くの感染症は、予防接種でリスクを大幅に減らすことができます。特に百日咳ワクチン(DPTワクチン)は、定期接種として推奨されています。お子さんの予防接種スケジュールを確認し、必要な接種を忘れずに行いましょう。 - 手洗いと衛生管理
ウイルスや細菌の感染を防ぐために、手洗いは基本中の基本です。外出後や食事前、咳やくしゃみをした後には、石けんと流水でしっかり手を洗う習慣をつけましょう。また、咳やくしゃみをする際には、ティッシュや肘で口を覆う「咳エチケット」を実践することも重要です。 - 健康的な生活習慣を維持する
– 十分な睡眠: 免疫力を高めるために、子どもも大人も十分な睡眠をとることが大切です。
– バランスの取れた食事: 栄養豊富な食事を心がけ、体の抵抗力を高めましょう。
– 適度な運動: 体力をつけることで、感染症にかかりにくい体を作ります。 - 感染症の流行時期には注意を払う
百日咳やインフルエンザなどの感染症が流行している時期には、混雑した場所を避ける、マスクを着用するなどの対策を取りましょう。 - 早めの医療機関受診
咳が長引いたり、症状が悪化した場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。特に百日咳が疑われる場合は、早期診断と治療が症状の悪化を防ぐ鍵となります。
家庭内感染の予防
家庭内に百日咳やインフルエンザの感染者がいる場合、特に乳幼児や免疫力が低下している人がいる家庭では、感染者を隔離することが推奨されます。百日咳やインフルエンザは主に飛沫感染によって広がります。感染者が咳をした際に唾液や細菌が空中に飛び散り、それを吸い込むことで感染が広がる可能性があります。その場合は、以下のような対策が有効です
- 感染者の隔離
感染者が家庭内で過ごす場合、できるだけ別の部屋で過ごすようにし、接触を最小限に抑える。 - マスクの着用
感染者と接触する際には、双方がマスクを着用することで飛沫の拡散を防ぐ。 - 手洗いと消毒
感染者が触れた物や場所を定期的に消毒し、手洗いを徹底する。 - 換気
部屋を定期的に換気することで、空気中の飛沫を減らす。
まとめ
夜間の咳が続くとき、お子さんの苦しそうな様子に不安になることは当然のことです。しかし、原因を理解し、できる範囲の対処法を試すことで、お子さんの健康を守るための一歩を踏み出すことができます。
また、医療機関や地域の支援を積極的に活用することで、不安を少しでも和らげることができるはずです。百日咳をはじめとした感染症は予防と早期対応が大切です。家族みんなでできる対策を実践しながら、大切なお子さんを見守り続けてください。
どんなときも、「一人ではない」という気持ちを持つことが安心へと繋がります。ご不安なことがあれば、医療機関の専門家に相談することを忘れないでくださいね。
当院では、小児科と内科の診療を行っており、お子さまの健康に関するどんな小さなお悩みにも真摯に対応させていただきます。夜間の咳やその対処法について不安を感じられている方も、どうぞお気軽にご相談ください。私たちスタッフ一同、皆様の安心と健康を支える一助となれるよう、全力でサポートいたします。
執筆:医療法人社団 誠道会 広報担当